子供の犯罪で親は非難されるべきか|代表弁護士が解説
性犯罪などがエスカレートして殺人に至るなど,世間を揺るがすセンセーショナルな大事件では,決まってワイドショー取材班や週刊誌記者は,われ先にと言わんばかりに被疑者の親へアプローチし,どういう子供なのか,どのように育てたのかなどを取材しようとします。世間が関心を持つ上,視聴率を上げるための取材なのでしょうが,未成年ならいざ知らず,成人に達した子供の事件について,親としてどう対処すべきか,難しい問題です。
以下,代表弁護士・中村勉が解説いたします。
加害者の家族をめぐる問題は,あまり注目されることはありませんが,古くは連合赤軍による浅間山荘立て篭もり事件で,警察の協力要請に応じて拡声器で息子に投降を呼びかけた年老いた母親の姿や,比較的最近の映画では,東野圭吾原作の「手紙」,佐藤浩市主演の「誰も守ってくれない」などで,加害者家族が取り上げられています。
このような大事件だけではなく,新聞報道などされない事件にあっても,「父親として責任を取って要職を辞任すべきではないか」,「母親としてPTAの役員を降りるべきではないでしょうか」などといったご相談を受けてきました。
こうした問題は,答えはひとつではないでしょう。少なくとも当事務所では,こうした親御さんの悩みや心配事を共有し,少しずつでも前に向かって進めるよう,全力を尽くします。刑事弁護は,被疑者被告人を守るだけではなく,時には,その親御さんの力にもなる決意で取り組むべきものと考えているからです。